人が2人以上集まれば小集団と言われます。小集団の集合体が組織になりま す。今や、病院もその組織能力の優劣が問われる時代となっています。組織能力を考える上で常に思うのは病院の組織マネジメントの難しさです。一般企業 の後を追うように実に様々なマネジメント手法が導入されてきました。しかし最終的に実践するのは「人」です。「人」の心を動かさなければどんな素晴らしい理論でも絵に描いた餅です。20年間にわたり、論理や知性だけでなく、 コミュニケーションや人間関係の心、感情を焦点に「人」の持つ能力を活かす小集団活動を指導して参りました。現場での実践指導で得た貴重な体験と第三 者の目で観た病院組織の今後のあり方を更に追い求めていきたいと思います。
1. 小集団活動は医療人の心のバリアフリー活動
2. あ・た・まを使った病院づくり
1)あ=遊び心で小集団活動の実践
2)た=楽しい小集団活動を実践
3)ま=真面目で本領発揮の場面づくり
経営学者ピーター・ドラッカーは「マネジメントは実務であり、これだけが最高というものはない。値打ちは、医療と同じように科学性によってではなくて患者の回復によって判断しなければならない」と述べられています。医師中心の医療から患者様中心のチーム医療への転換期を迎えている病院にとってはマネ ジメントのリニューアルの最大のチャンスです。まして病院は社会的な貢献にその存在感を見出していく宿命を負っています。職員の倫理性と価値観を共有していく行動レベルでの共通プロセスが今後益々必要となってくるでしょう。 目標管理、人事制度、成果主義などの導入に当たっては最初からこうあるべきという形にこだわるのでなく、現場の課題や問題点の解決行動で生み出される職員の行動変容もしっかり見極めて行かねばなりません。借り物のハウツーでは限界があります。それこそマネ(模倣)ジメントになってしまいます。自分 達のオリジナルのハウツーは、しかけや制度のハード面と職員のモチベーション のソフト面がベストミックスする時です。その機会を大いに与えてくれるのは全職員参加の小集団活動だと思います。